妊婦検診で先生に教えてもらえる赤ちゃんの推定体重は、お腹の赤ちゃんの成長を実感できる、嬉しい数値ですよね。
でも、
と気になりませんか?
お腹の赤ちゃんの推定体重の出し方、どれくらい正確な数値なのか、体重が多い場合・少ない場合に考えられるリスク、さらに週数ごとの基準値をまとめたので、参考にしていただければと思います。
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胎児の推定体重の量り方

お腹の中の赤ちゃんは、直接体重を測ることができません。
ですから、妊婦検診で行う超音波エコーで分かった情報を用いて、定められた計算式に当てはめ、大まかな体重を計算しているそうです。
妊婦健診で超音波検査を行う際、次のような手順で胎児の推定体重を算出しています。
超音波検査で頭の大きさなどを計測
体重を知るためには、まず赤ちゃんの各部位のサイズを量ります。
妊婦健診で超音波検診を受ける時に、医師が赤ちゃんの頭の部分を丸く囲ったり、太ももの骨の長さを測ったりしているのを見かけると思います。
あれは、赤ちゃんの体の部分を測って、どのぐらい成長しているのかをチェックしているのです。
調べた数値は、体重を計算する際にも使います。
超音波検査で調べる数値は次の3つです。
推定体重算出に用いる数値①BPD(児頭大横径)
BPD(Bi-Parietal Diameter)とは、赤ちゃんの頭の横幅のことです。
断面積ならどこでもよいというわけではなく、基準となるラインが厳密に設定されています。
斜めの断面だと、不正確になり、本来よりも大きな数値となってしまいます。
推定体重算出に用いる数値②AC(腹囲)
AC(Abdominal Circumference)とは、赤ちゃんのお腹周りのことです。
お腹の一番太い部分を測ります。
胎児躯幹横断面積(fetal trunk area ; FTA)という場合もあります。
胎児の腹部は柔らかいので、圧迫や胎児の向きによりその断面はいつも完全な円形をしているわけではなく、
また測定の際に誤差も生じやすく変動しやすい数値です。
腹部の数値はなにを採用するのかにより、算出の仕方がいくつか存在するそうです。
推定体重算出に用いる数値③FL(大腿骨長)
FL(Femur Length)は、赤ちゃんの太ももの骨の長さのことです。
人間の骨の中ではもっとも長い骨なんだとか。
BPDとFLは胎児の向きや圧迫などでほとんど変化する事ないので、
より正確な数値が出しやすいと言われています。
胎児推定体重(EFBW)の計算方法
胎児の推定体重は、先ほどエコーで測定した胎児の頭位・腹囲・大腿骨長を元に、次の式で計算します。
EFW(g) = 1.07 × BPD3 + 0.30 × AC2 × FL |
ん?難しいですね・・・。
文系の私には頭が痛くなりそうです!!
でも安心してください。
こんな計算をしなくても、それぞれの数値を計測した段階で、エコーの機械が自動的に推定体重を算出してくれます。
エコー写真をもらった時にも、推定体重が記載されていますよ。
胎児推定体重(EFBW)は正確なの?

身体のパーツの大きさから、胎児のサイズを推定で算出するという事は分かって頂けたかと思います。
ですが、やっぱりそれって正確なの!?とちょっと気になる部分はありますよね。
調べてみた所、あくまでも推定のため、100%正確というわけでは無いようです。
胎児推定体重(EFBW)の誤差は?
エコーをした時の赤ちゃんの体勢によっては、体のパーツをうまく計測できない場合があるからです。
超音波で計測した値を使って体重の推定値を計算する場合、1割程度の誤差はあるかもしれないそうです。
例えば、赤ちゃんの体重が1000gの場合は±100gの誤差が生じることになります。
900gと出るかもしれないし、1100gと出るかもしれないという事です。
胎児推定体重は、赤ちゃんの成長を見るための大まかな目安として捉え、毎回の体重の変動を気に病む必要は無いようです。
実際に産まれる直前のエコーで言われた推定体重と、産まれてから計測した実際の体重では大きな差があった、というのはよくある話のようです。
推定体重が重すぎるのはいけないコト?
胎児の体重の増えすぎることを胎児発育過剰といいます。
出生体重が4000グラム以上の子を巨大児、4500グラム以上の子を超巨大児といいます。
現在では、産婦人科での妊婦さんへの体重管理指導が厳しくなったので、ここまで大きくなる事は非常に珍しいです。
赤ちゃんが巨大児になる原因
巨大児になる要因として多いのは、以下の様な理由です。
- 母体の糖尿病
- 母体の肥満
- 妊娠中の多すぎる体重増加
- 過期妊娠
巨大児が良くない理由
しかし、巨大児だと何がいけないのでしょうか?
大きな元気な子の様に感じますよね?
巨大児が問題となるのは、分娩が大変になるからです。
- 児頭骨盤不均衡(骨盤の出口よりも児頭の大きさが大きく、経膣分娩が困難、不可能となること)
- 分娩遷延(分娩時間が非常に長くなること)
- 肩甲難産(胎児の頭が出ても肩がひっかかり難産となること)
- 分娩外傷(鎖骨骨折などの外傷)
この様な事態が起こりやすく、自然分娩が難しくなるそうです。
一昔前は「妊婦は二人分食べないと」という考え方が一般的だったので、巨大児が多かったそうです。
もちろんこの考え方は間違ってます。
大きすぎる赤ちゃんは分娩時に大変なので、適切な体重管理が重要となります。
推定体重が軽すぎるのはいけないコト?

胎児の体重が軽すぎる事を胎児発育不全といいます。
胎児発育不全の基準は少々複雑なので割愛しますが、検診の度に極端に体重が軽い場合に医師から指摘されます。
胎児発育不全になる原因
胎児発育不全になる要因として多いのは、以下の様な理由です。
- 栄養不良
- 低酸素状態
- 飲酒
- 喫煙
- 妊娠中の無理なダイエット
- 胎児の染色体異常
- 双子・三つ子などの多胎妊娠
- 切迫早産
- 前置胎盤
もし、胎児発育不全と診断された場合、母体に関係のある病気があるならば治療を優先します。
原因不明の場合は、できるだけ安静にし、赤ちゃんに栄養が届くようにします。
食生活についての指導もあるので、赤ちゃんに必要な分の栄養をしっかり摂るようにしましょう。

胎児発育不全が良くない理由
赤ちゃんの体重が軽すぎる場合は、何がいけないのでしょうか?
それは産まれてきてから、以下に挙げられるような病気にかかりやすいからです。
- 胎児ジストレス(胎児が子宮内において呼吸ならびに循環機能が障害される事)
- 低血糖(無症状も多いが、なんとなく元気がない、
けいれん、無呼吸、徐脈、頻脈、意識レベルの低下などが生じる恐れ) - 低カルシウム血症
- 多血症
- 周産期死亡率は8倍
- 精神発達遅延の発症率も高くなる
このような事態を避けるためにも、子宮内での発育が順調であるかどうかを適切に評価し、発育不良があれば医師の指導に従い、栄養をしっかり摂りましょう。
妊娠週数ごとの胎児推定体重
お腹の赤ちゃんの体重が多すぎても少なすぎても良くない、という事はお分かりいただけたかと思います。
では実際に、胎児推定体重を基準値と比較してみましょう。


真ん中の線が基準値、上下の実線が86.6%の子が入っている範囲、上下の点線が95.4%の子が入っている範囲です。
この範囲から大きく離れていなければ問題ないと言えるようです。
推定体重はあくまで目安
いかがでしたでしょうか?
今回はお腹の赤ちゃんの推定体重についてまとめました。
妊娠中は気をつかう事がたくさんあり大変ですが、基本はやはり健康的な食生活です。
妊娠中でもダイエットをする、という方がたまにいらっしゃいますが、それは止めた方が良いという事は一目瞭然。
体重が増えすぎて、医師からの指導でする場合以外は止めておきましょう。
ダイエットは産後に育児に奮闘しながらするのがいいと思います。
妊娠中は一人の身体ではないという事を、改めて考えましょう。
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